なりあき　YEAR BOOK

「ようこそのお運びで。厚く御礼申し上げます。」

読書日記。

読了。

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フィクション。

モデルとなった事件、人物はいませんが、精緻な状況描写。

服役囚が仮釈放されるまでの段階、そして、仮釈放が決定されてからの流れ、そして、社会復帰するための仕組み、保護司などについても詳しくかかれており、知ること多し。

その心理の推移を、淡々とではありながら、自分が体験しているかのよう。

物語の内容といえば、・・・。これが、けっこう、重い。

主人公の男がなぜ服役することになったかが、物語の中盤あたりまで、明らかにされず。

その経緯も少しずつ。

反省と憎しみと、いろいろな感情がないまぜになって…。

それでも、平穏無事な、模範的な仮釈放の生活を送っていた男に、転機が…。

そして、この模範的な生活が・・・。

最後、数ページが、とにかく辛かった。

人はこんなに弱い者か、と。

最後の最後まで、吉村昭さんの筆致が味わえます。

実は、ゴールデンウィーク期間中に読み終わっていたのですが。

気持ちのいい青空・気温とはかけはなれた世界に、少し打ちのめされていました。

いや、ほんの少しだけ。

おすすめです。

人を愛する者、人恒に之を愛す。人を敬する者、人恒に之を敬す。