読書日記。『東北ショック・ドクトリン』
「ようこそのお運びで。厚く御礼申し上げます。」
今日は、一日中、曇り空。
雨は降りませんでしたが、やや蒸し暑い感じでした。
さて。
読書日記。
読了。
古川美穂『東北ショック・ドクトリン』。
東日本大震災から、もう4年以上。
震災からの復興は、遅々として進まず(いろいろな事情もあるでしょう)、一方で、2020年のオリンピックに向けて、日本政府は、まあ、いろいろと(後述)。
ショック・ドクトリン。
「惨事便乗型資本主義」といえば、わかりやすいですね。
そう、まさにその通りに、東日本大震災において、「惨事便乗型資本主義」が行われています。
そのことを、筆者が現地を取材し、まとめたのがこの本。
とにかく、おすすめです。
東北ショック・ドクトリン
読んで欲しいので、詳しくは書きませんが(といっても、ネット検索すれば、いろいろ出てくるでしょうが)。
でも、書かずにはいられない。
以下、ブクログから。
「惨事便乗型資本」。
「外」から「内」から、「創造的復興」の名の下に行われる被災者の支援とは関係のない、企業の「経済」につながる「復興」。
東北メディカル・メガバンク構想。
3世代コホートのゲノム解析の目的も知らされずに、遺伝子収集が行われている現実。
カジノ誘致、水産特区、大型ショッピングセンター(これは功罪がある)など。
いったい誰のための復興なのかというのが、読後感に残る。
中でも、ショックだったのは(どれも「震災からの復興」と言い難いものばかりでしたが)、「東北メディカル・メガバンク構想」。
住民の同意を得ないまま(知らされないまま)、3世代コホートのゲノム収集。
何か、国による実験を行っているような感じ。
阪神・淡路大震災からの復興でもあった「惨事便乗型資本主義」。
その象徴ともいうべき、ポートアイランドの実例。
そこから、この日本政府は、何を学んだのか。
(何も学んでいない)
「とりあえず『ハコモノ』を造り、それから何か考えよう」的な。
本書に書かれている施策は、震災前から各省庁で構想されていたものが多く、中には、たまたま2011年3月11日、震災当日の午前中に法案が可決されたものもありました。
そして、起こった東日本大震災…。
まさに「惨事便乗型資本主義」がはびこり、次々と「復興」の名の下に行われていく国家的プロジェクト。
綺麗な言葉ですね、「創造的復興」。
復興そのものは、否定しません。
震災に遭われた方が、今なおその途中にいる現状です。
復興の道を淡々と追い続けている記者さんもいるでしょう。
そして、何より、被災者自らが、協力し合って、知恵を出し合って復興している、真っ只中です。
しかし、そこの水を差すような「創造的復興」。
あるいは、「惨事便乗型資本主義」。
ほんとに、この本を読んでいると、いったい誰のための施策なのかと疑いたくなりました。
個人的な感情ですが、宮城源の現知事に対する印象は、この本を読む前と、読んでいる間・読了後には、一変しました…。
(まぁ、いろいろあるんでしょうが、しかし、です)
震災から4年が立つ2015年。
最近のニュースでは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる「新国立競技場」の建設にかかる費用で、腹立たしく思っています。
たとえば、こんな報道が。
財源めどなく見切り発車=大幅変更「間に合わぬ」-新国立建設 (時事ドットコム)
2020年東京五輪・パラリンピックでメーン会場となる新国立競技場の総 工費は、2520億円に膨らむ見通しとなった。下村博文文科相は「(コスト削減策を)ぎりぎりまで調整したが、大幅な変更をすると間に合わない」と指摘。総工費を賄うための財源確保策も十分に議論されないまま、見切り発車する形となる。
(略)総工費は基本設計時の1625億円を大きく上回る2520億円で、完成時期は予定から2カ月遅れの19年5月末とした。
見直し案について、文科相は記者団に「この時点で大幅な変更をすると(五輪前に開かれる19年秋のラグビー・ワールドカップ日本大会に)間に合わなくなる。(アーチ構造は)招致の時もセールスポイントとして訴えてきた経緯がある」と強調した。
(略)東京都に求めた500億円の負担も、舛添要一都知事が「都民に税金を出してもらうなら納得できる説明がないといけない」と繰り返し、決まらない状態が続く。
しかも、総工費の中に先送りした開閉式屋根の整備費用は含まれておらず、大会後に追加費用が必要になる。19年5月末とした完成時期も「ぎりぎりの日程なので、複雑なアーチの建築で工事がストップすれば完成が遅れる」(文科省幹部)と指摘する声もあり、工期の面でも課題がある。(2015/06/29-19:02)
記事本文はこちら。
直近の過去数回のオリンピックのメイン会場の総工費は数百億円程度。
しかし、なぜ、日本だけ、こんなに桁が違う、突出した総工費になるんだろう、と。
見出しにもあります。
「財源なく見切り発車」「間に合わぬ」。
?
いったい、どんな理由・理念で、建設しようとしているのか。
甚だ疑問です。
記事をよくよく読めば、「総工費の中に先送りした開閉式屋根の整備費用は含まれておらず」と。
2520億円+α…。
「目途が立っていない」財源の確保は、スポーツ振興くじや競技場の命名権などから捻出するらしいけれど、それでも微々たるもの。
シドニー、北京。ロンドンなどのように、数百億円規模の、シンプルなデザインにすれば(今出もできるはず)、大幅なコストダウンになる。
コストダウンして、余った分は、文科省が、東日本大震災の復興費に充てるべし。
教育環境の整備・充実、子どもの健康、など…。
もっと、できることがあるだろう。
日本のお役所の得意技。
「一度決めたことだから」。
「もう決まったことであるので(変更はできるかもしれないけれど)、新し法律もあるし」
「計画が進んでいる以上、途中で止めれば、ここまで使った費用が無駄になる」
(いや、止めた方がはるかに効率がいい場合が多い)
…。
ああ、この記事は、『東北ショック・ドクトリン』に関する「読書日記」だった…。
「惨事便乗型資本主義」。
これも、「一度決めたことだから、もう後戻りはできない」。「計画が進んでいる以上、途中で止めれば、ここまで使った費用が無駄になる」。
そんなところでしょうか…。
筆者の丁寧な現地取材、地元の住民との会話などから読み取れる、被災者の本音など…。
様々な媒体のレビューにも載るくらいです。
読む価値はあると思います。
そして、いろいろ考えることが多いです。
東北ショック・ドクトリン
おまけ。
後数回分、「読書日記」の在庫があります。
来月(7月)になってしまった…。
まあ、いっか。
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