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なりあき YEAR BOOK

人を愛する者、人恒に之を愛す。人を敬する者、人恒に之を敬す。

読書日記。『高熱隧道』

読書

「ようこそのお運びで。厚く御礼申し上げます。」

 

 

寒い。

 

風が、やっぱり、冷たい。

 

さて、いきなり。

 

読書日記。

 

読了。

吉村昭『高熱隧道』(新潮社・新潮文庫

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読み終わってから、このように、表紙を見ると、いろいろ考えさせられます。

 

いわゆる“黒部ダム”、“黒部発電所”といえば、「黒4ダムの工事」が思い浮かべるでしょう。

 

自分もそうでした。

 

某番組や他の書籍でもあつかっているので、有名ですね。

 

しかし、おなじ黒部の工事でも、本書は「黒部第三発電所の工事」を描いた物語です。

 

もう、桁外れに想像を絶する難工事だったことがわかります。

 

吉村昭氏の丁寧な取材、聞き取りなどによって、この工事に携わった人々の姿が淡々と描かれています。

 

少し長いですが、感想のようなものをブクログから。

 

 

黒部第3発電所建設のための隧道(トンネル)掘削に全力を注いだルポルタージュのような物語。

完成までに300人を超える死者を出した、苛烈を極めた工事の内容が描かれる。

坑内温度が50度以上で、削る岩肌も削るにつれ上昇。160度以上にもなる。
高温によるダイナマイトの自然発火による事故。これは法定で定められた基準を大幅に上回る温度の中で使用したことによる。

また、これは初めて知ったが「泡雪崩」というもの。世界的にも希な自然現象だが、ひとたびその「泡雪崩」が起きれば、大事故、大惨事につながる。

一応の完成をみるが、それまでに、多くの労働者の人命を犠牲にした。しかし、命の危険を常に負うのは、現場の労働者であり、現場の指示・指揮をする会社側の人物は、そのような危険はほとんどない。よって、本書の最後の部分で、トンネル技師達が抗夫から恨みを買って殺されるのではないかという風聞もでてくる。

数多くの要素が詰め込まれているが、基本には、やはり、黒部峡谷の厳しい自然と人間というテーマがあると思う。

その中で、個々の「人間」が描かれている。

現場で働く労働者の死と隣り合わせの中での葛藤。
同僚が次々と事故に巻き込まれて死んでいく現場で、彼らの胸に兆す憤りや憎しみはどう揺れ動き、反面、仕事を成し遂げようという気概。

また、現場を指揮する技師の葛藤。
労働者を命の危険にさらしながらも、叱咤激励する。しかし、劣悪な労働環境、事故の多発からくる、労働者の不満の爆発を恐れる胸の内。

それぞれの立場における心の底が描かれる。

国家の威信をかけた大事業であるという誇りや責任感、それぞれの道におけるプロであるという意識。


これだけ多くの事故を起こし、犠牲者を出したにも関わらず、工事が続行された背景には、第2次世界大戦に突き進む、日本の国家の威信をかけた、国の権力が動いていたという事実も、おそろしい。

 

「国策」「国家の威信」となると、こうなるのかという側面も怖かったですし、なにより、その難工事の描写が、息を呑むような筆致で迫ってきます。

 

ブクログと似たような感想ですが、少しばかり。

 

描かれている労働者のプライド、精神が日本という国特有なもののひとつ感じました。

 

そもそも戦争遂行のために京阪神地域の生産力増強を目的とした電源開発であったが、多くの犠牲に目をつぶり、国が超法規的に事業継続の意思を示す姿は、支那事変から太平洋戦争に至るあの時代の姿に映りました。

 

過酷極まる環境下での難工事は戦争に近い。

 

また、トンネル貫通を通して描かれる、自然と人の対立。そして、労働に従事する人夫達と、監督する技術者達の支配構造。その何とも言えない社会情勢・状況にも迫るものがありました。

 

「泡雪崩」という記述がありますが、Wikipediaで調べると、実際は違うようです。

 

それにしても、「泡雪崩」のような自然の威力はすごい。

 

似たような工事を描いた吉村昭『闇を裂く道』も、強くすすめますが、同時にこの作品も薦めたいです。

 

お薦めです。

 

読んで欲しいです。

 

 

高熱隧道 (新潮文庫)

高熱隧道 (新潮文庫)

 

 

 

 

こちらも、ぜひ。

 

闇を裂く道 (文春文庫)

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