なりあき YEAR BOOK

人を愛する者、人恒に之を愛す。人を敬する者、人恒に之を敬す。

読書日記。『悲しみの歌』

 「ようこそのお運びで。厚く御礼申し上げます。」

 

 

2月も早いもので、あっという間に下旬近く。

 

もう下旬?かな。

 

ともかく、月日が流れるのは早い。

 

読みたい本がいっぱいあるのに、どんどん時間が流れていく。

 

 

読書日記。

 

読了。

遠藤周作『悲しみの歌』(新潮社・新潮文庫

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遠藤周作さんといえば、小説『沈黙』。

 

その原作が映画化されましたね。

 

本屋さんで平積みされているのを、よく見かけます。

 

個人的なことを言えば、『沈黙』は、中学生の国語で「学習」した記憶があります。

 

作品の一番のクライマックスの場面ですかね。

 

それでも、結構な長さの文章を読みました。

 

中学生なりに、いろいろなことを考えさせれました。

 

また、遠藤周作さんといえば、軽妙なエッセイの印象が強く、そちらのほうをよく読んだ記憶があるのです。

 

中学生の時に、入信生活を送りました。

 

その入院生活のお供として、氏のエッセイをよく読みました。

 

しかし、読んだ記憶はあるものの、その内容はあまり覚えておらず…。

 

 

 

で。

 

遠藤周作さんの小説はといえば、これまた、ほとんど読んでおらず。

 

いわゆる「第3の新人」の作家さんに興味もあることですし、この機会にぜひ読み進めようか、と。

 

吉行淳之介さん、いいですよね。

 

 

さて。

 

『悲しみの歌』。

 

 

少し前に、『海と毒薬』という小説を読みまして、その読了後に、この本の存在をしりまして、積ん読本のままだったのです。

 

『海と毒薬』の続編とも呼ぶべき小説。

 

隠れた名作というべきか、もっと読まれてもいい小説だと思います。

 

確かに、描かれている東京や、言葉使いなど、古いところはありますが、肝心のテーマは、今でも充分に通じる小説です。

 

ずしり、と、くる、物語でした。

 

何が「善」で、何が「悪」なのだろうか、と。

 

感想のようなものをブクログから。

本書『悲しみの歌』は、『海と毒薬』の続編となる…、と、あるのは、みなさんのレビューの通り。

『海と毒薬』は、太平洋戦争末期、九州大学医学部で行われたアメリカ兵捕虜の生体解剖実験を元にした物語で、戦時中の話。

そして、本書『悲しみの歌』は、戦後の話で、復興を果たした20年後の話になるだろうか。

主人公の勝呂医師は、新宿で開業医をしているが、その新宿を中心にさまざまな人物が登場し、描かれる。

似非文化人の大学教授やその娘、反権力を訴える(やがて、スーツを着て企業に勤めていく)大学生。

勝呂医師の“過去’”を曝く正義感に溢れた折戸記者と同僚の記者野口。

そして、末期癌患者のおじいさんとその面倒をみていたガストン。

他にも、多くの、かつ、魅力的で重要な人物が出てくる。


刊行されたのは、かなり前になるので、出てくる言葉も時代を感じさせる

戦時中の倫理観の狂いから起きた事件が、戦後の人々を苦しめ続ける。

深い事情や彼の心理を知らない者たちは、その事件の表面だけを見て彼を糾弾する。若い新聞記者である折戸を始め、さらにその表面だけを「知る」顔のない世間の一般人も。

折戸(や世間といった)勝呂を糾弾しようとする正義感は、きっとその時代の倫理観からすると正しいのだろうけれど、善と悪は、それほどすっぱり簡単に二つに割り切れるものではない、と。


ただ、自分も(たぶんこの本を読んだ人も)、簡単に、“勝呂医師”や“折戸記者”のような人物に絶対にならないと断言できないという、恐ろしさもある。

本当に「正義」って何だろう?と考えさせられた。

本書の最後に触れられていたが、安楽死の問題も、重要な描写。


少しネタバレになるが、最後の場面で、別の記者でなく、折戸記者が、目撃者になっていたら、どうなっていただろうか。


ガストンは、やはり、イエスのメタファーなのかな。

どこまでも、優しく包み込む。

 

 

単純に、勝呂医師が“悪”で、折戸記者が“善”(正義)というようなものでもありません。

 

それぞれの立場からすれば、“悪”が“善”になり。、“善”が“悪”になる…、というか。

 

ほんとうに、怖いのは、この作中人物のような立場になったとき、「自分はこんな人物には絶対にならない」と言い切れないところだと思います。

 

 

ほんとうに勝呂医師だけが悪かったのだろうか。あるいは、ほんとうに断罪されるべきであったのだろうか。

 

むろん、行為じたいが褒められるべきではなく、むしろ責められるべき性質をもつことはわかる。

 

しかし、詳細は省きますが、物語を読み終えて、はたして救われた人はいるだろうか、と。

 

そこには、言いようのない「悲しみ」が拡がりました。

 

救いなのは、イエス・キリストのメタファーともいうべき「ガストン」でしょうか。

 

生きるとは。死ぬとは。幸福とは。悲しみとは。

 

これらの行為ひとつとってみても、世の中がそう単純には割り切れないことだらけであると痛感しました。

 

ほんとうに、「正義」とは、何だろう、と。

 

 

『海と毒薬』とともに、本著『悲しみの歌』、強くお薦めします。

 

 

悲しみの歌 (新潮文庫)

悲しみの歌 (新潮文庫)

 

 

 

海と毒薬

海と毒薬

 

 

 

海と毒薬 (角川文庫)

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あと、『沈黙』も。

 

沈黙(新潮文庫)

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