読書日記。『ヴィルヘルム2世 ドイツ帝国と命運を共にした「国民皇帝」』
「ようこそのお運びで。厚く御礼申し上げます。」
お家にいよう。
その生活習慣から、少しずつ、「新しい生活様式」に移行しつつある現状。
なんだか、落ち着かない。
外出時にマスクが欠かせない。
危うくマスクをし忘れるようなことも。
マスクをしていなかったら、何か、白い目で見られそう。
でも、みんな心の底ではどう思っているんだろう…。
さて。
読書日記。
読了。
竹中亨 『ヴィルヘルム2世 ドイツ帝国と命運を共にした「国民皇帝」』(中公新書)
まったく予備知識なく、読んだ。
初心者でも、すごくわかりやすい解説だった。
副題にあるように、まさに「ドイツ帝国と命運を共にした」と言っても、過言ではない。
数奇な運命というか。
ブクログから感想を。
ドイツ帝国最後の皇帝、ヴィルヘルム2世の評伝。
帝国の隆盛と斜陽へと向かう様子とともに、当時の国際情勢などを交え、ヴィルヘルム2世の「カイゼル髭」と称されるような威厳のある皇帝の姿を描き出す。
ひとつの劇的な人生物語を読んだ気持ちだった。
生い立ちがどれくらい影響したかは、はっきりわからない。
しかし、子どものころに受けたスパルタ教育や母との確執もあり、イギリスへの憎しみ・反発はあっただろう。そして、同時に、イギリスへの憧れ、愛着もあり、イギリス風の政治を取り入れようとした。
それが、晩年、イギリスを意識し過ぎて海軍増強に力を入れ過ぎた。結果、周辺諸国の均衡を崩し君主制の崩壊を早めてしまう皮肉。
高すぎる自己顕示欲、高慢、多すぎる(そして、深刻な)失言の数々。
筆者は”生まれる時代を間違えた王様”と評するが、“生まれた時代も場所も間違えた王様”のような悲哀を感じる。
しかし、生まれるべくして生まれ、第2帝国をよくも悪くも導いた皇帝の姿である。
意外に、ヴィルヘルム2世についての評伝が少ないことにも驚き。
もちろん、本国にはたくさんあり、日本においてもあるようですが、入手しにくい状況だったりするので、『ヴィルヘルム2世』(中公新書)は、個人的には、手がかりになる1冊になるのではないか、と。
印象的だったのは、彼の生い立ちですかね。
父との関係よりも、母との複雑な関係。
イギリスで生まれ育った母親。
その伝統や文化を教えたい母親。
そして、スパルタ教育。
その影響もあってか、ヴィルヘルム2世自身も、政治や文化について、イギリスを好む。
一方で、憎しみの感情も。
それが後々、皇帝になってから、外交政策に多大な影響を与えるという…。
そして、現代なら、いわゆる「炎上」必至な、発言の数々。
筆者は、”生まれる時代を間違えた王様”と表するが、少なくとも、現代に生まれなくてよかったと同情する。
皇帝の資質はそれなりにあったんだろうと思うけれど、いかんせん、時代背景と、彼の生まれ持った才能と培われた性格と教育が…。
そんな感じ。
ブクログでも書きましたが、ヴィルヘルム2世についての評伝は、ほとんどないので、彼のことについて知るには、最適な1冊だと思います。
もう少し知りたい場合は、図書館の書庫にある、もっと専門的な本になるでしょう。
おすすめです。
新書。紙媒体。
Kindle本です。