読書日記。『職業としての小説家』

「ようこそのお運びで。厚く御礼申し上げます。」

読書日記。

読了。
村上春樹『職業としての小説家』（スイッチパブリッシング）

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雑誌で連載していた（らしい）ものを一冊にまとめた、久々の長編エッセイ。

「長編エッセイ」という表現も、どこか変です。

目次
第一回　小説家は寛容な人種なのか
第二回　小説家になった頃
第三回　文学賞について
第四回　オリジナリティーについて
第五回　さて、何を書けばいいのか？
第六回　時間を味方につける──長編小説を書くこと
第七回　どこまでも個人的でフィジカルな営み
第八回　学校について
第九回　どんな人物を登場させようか？
第十回　誰のために書くのか？
第十一回　海外へ出て行く。新しいフロンティア
第十二回　物語があるところ・河合隼雄先生の思い出
あとがき

はい。村上春樹ファンです。

かといって、ノーベル賞の季節になると、「どうか村上春樹さんが、ノーベル賞・文学賞を受賞しませんように。」と願ってやまない、ファンです。

ああ、なにか、いわれそうだ。

まあ、いいや。

もちろん、器官のエッセイなどを読んでいるので、作家になったきっかけや、その後の話など、既読感が多かったのも否めません。

けれど。

中には、より突っ込んだ話があり、「そうだったのか」と思う部分も多くありました。

『ノルウェイの森』が、（いいのか悪いのか）大好きな一人なので、「その当時、まだ鉛筆と大学ノートに書いていたものが残っている」という部分には、「おおっ！」と夜中にもかかわらず、声を上げてしまいました。

ごめんなさい。

今の作家さんの多くはパソコンで執筆しているので、いわゆる「推敲の痕跡」が残らない。

原稿を別場ヴァージョンとか、そういう保存方法をしている作家さんがいれば話は別ですが…。

近・現代作家（明治〜昭和初期・中期）の作家さんは、没後、個人全集なるものが刊行されるわけです。

そこに、作品だけでなく、「書簡」というものがあり、日記や手紙の他に、作品の初期原稿なども収録されていて、作風の変遷（のようなもの）をたどれるわけです。

しかし、現代の作家さんは、上記のように、デジタルなので、「推敲の痕跡」は、ほとんどないでしょう。

代わりに、膨大な量の、マスメディアに残した、雑文（失礼）や、はたまたSNSを使っている作家さんともなると…。

どうなるんでしょうか、現代作家さんの「個人全集」。

ああ、話が逸れました。

『職業としての小説家』。

村上春樹さんのエッセイを読むと、いつも「ああ、どこにでもいる普通の人なんだなぁ。」とほくほくした気持ちになります。

もちろん、「小説家でありつづけるための才能」がある人ですが。

いったいどれくらい本を読み、映画を観てきたのだろう、音楽を聴き、感じ取っていたのだろう、と。

アンチ村上春樹もいるのもわかる気がします。

中には、読んでいないのに、あーだこーだ難癖つけている人を（実際に）見聞きしていますが。

まあ、人は人。

自分にだって、読まず嫌いな人もいますし、評判が良く、実際に読んでみて、「ふ〜ん」と思った作家さんもいます。

仕方ないですね。

全然、内容に触れていない（笑）。

一ファンとしては、やっぱり、村上春樹さんが、今どんなことを考え、そして、どんな小説を書こうとしているのかというのがわかりました。

また、長編小説を書き始め、世の中に出るまで、相当な時間がかかっていることも知りました。

『海辺のカフカ』だったかな（いや、違う気もする）、３年以上かかっていたという話には、びっくりぼん！です。

村上春樹さんをあまり知らない人に、ちょっとでもいいから立ち読みして頂いて、そして気に入ってもらったらレジへ持っていってもらったらうれしいな、と。

おまけ。

同じ村上春樹ファンの友人と、このエッセイの内容について語り空いたい！

職業としての小説家 (Switch library)

写真、素敵ですね。