読書日記。『漢詩人 大正天皇』
「ようこそのお運びで。厚く御礼申し上げます。」
読書日記。
読了。
読み応えがありました。
毎晩、1首ずつ味わうように読んでいきました。
だから、めっちゃ時間がかかりました。
でも、濃密な読書時間を送ることができました。
この本を読むきっかけは、
・何か漢詩を読みたい
・大正天皇のことについて知りたい
そういう気持ちが両方あって、偶然その二つが重なった本が、この本でした。
著者(解説)の石川忠久さんは、漢詩の大家。
安心して読めました。
歴代天皇の中でも抜きん出て、漢詩をお読みになられた大正天皇。
(千三百首を超える)
平易な解説でわかりやすく、いかに大正天皇に漢詩の知識・素養がおありになったのかわかります。
漢詩、あるいは、漢文の古典を踏まえた漢詩をお詠みなっています。
やはり、教師だった三島中州という方の指導がよかったのでしょう。
日常を詠んだ漢詩が、活き活きとして、そのお人柄が伝わってきます。
心の平穏を保てる場所だったのかも、と、想像してしまいました。
お読みになった漢詩には古典を踏まこの本を締めくくるに当たって、筆者が読んだ漢詩も素晴らしい。
結句の部分より引用。
但恐幾人能細看
歴朝無比詩千首
但だ恐る幾人か能く細かに看ん
歴朝比(たぐひ)無し詩千首
御製が千首も伝えられたが、幾人がその御製を味読することができるであろうか
著者も述べていたように、動乱期に生まれているのでなく、平穏な時代に生きておられたならば、「その文人の気質は伸び伸びと揮われたのではないか」と思います。
とても、有意義な読書でした。
図書館で借りた本ですが、これは、手元に置いておきたい一冊です。
続いて詠みたい本です。