なりあき YEAR BOOK

人を愛する者、人恒に之を愛す。人を敬する者、人恒に之を敬す。

読書日記。『殉国』

「ようこそのお運びで。厚く御礼申し上げます。」

 

読書日記。

 

読了。

吉村昭『殉国』(文春文庫・Kindle

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知るべき事があった。

 

それが読後の感想でした。

 

14歳の少年が目撃した沖縄戦

 

これは小説です。

 

しかし、吉村氏の取材力によって、壮絶な沖縄戦の実態がノンフィクションのように描かれる。

 

鉄血勤皇隊と国のために奉仕、死もいとわない少年たち。

 

一人でも多くの米兵を殺し、生き恥をさらさずに死ぬ。

 

ただ、それだけを目的に、鉄血勤皇隊に所属する14歳の少年は、行動する。

 

強く思い、願う姿が、とても悲しい。

 

本来なら楽しく、家族と過ごしている時期なのに。

 

友だちと大事な時間を過ごしている時期なのに。

 

戦況が悪化するにつれ、友人や沖縄の市民の死を目撃します。

 

14歳の少年が目にするにはすさまじいほどのこと。

 

非日常であるはずの「死」が日常のものとなり、何の感慨ももたなくなってしまう。

 

風化させたくない沖縄戦の実相。

 

あの場所で何が起きたのか。

 

読み継がれるべき本だと感じた。

 

 

 

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